2016年2月23日火曜日

「アダムズ方式」

皆さま、こんにちは。ねこです。
ニュースで「アダムズ方式」という言葉を
よく見かけるようになりましたね。

これは、選挙区の議席配分法の1つで、
2016年1月13日の朝日新聞の朝刊には、
こんな説明が書かれていたようです。

「都道府県ごとの人口比に基づいて定数配分を決める方式。都道府県のそれぞれの人口をある数で割り、出た商の小数点以下を切り上げて定数を決める。小数点以下を切り上げるため、各都道府県には最低でも1が割り振られる。現状に当てはめると、各都道府県の定数は2以上になるという」

という内容はさておき、ねことしては、
なんで「アダムズ方式」って呼ぶの?
ということのほうが気になりました。

これは、米国の第6代大統領アダムズが
提唱した方式だから、
そういうふうに呼ぶのだそうです。

じゃあ、英語でもそのまま通じるのかしら?

はい、Adams' Methodで通じるようです。
Adams' Apportionment Methodという
表現も見かけます。
(※apportionmentの意味は「割り当て」)

でも、どうして、sの前じゃなくて、
sのあとに、アポストロフィーがつくの?

これは、英語上級者さんでも、
案外知らなかったりすることなので
ちょっと解説しておきましょう。

普通、所有格(○○さんの)という時は
○○'sと書きますよね。
Maria's
Jennifer's
Ryan's
という感じです。

ところが、名前がsで終わる時は、
○○s'sとしてしまうと言いにくいので
最後のsを省略することがあります。

つまり、お名前が"Adam"だったら、
Adam'sとなりますが、
"John Quincy Adams"なので、
最後にアポストロフィーだけつけて
Adams'になるんですね。

ただし、映画『ブリジット・ジョーンズの日記』は
"Bridget Jones's Diary"なので、
実際のところ、所有格を作るルールには
ばらつきがあるようです。

ところで、アダムズ方式を
英語で説明しているYouTubeを見つけました。
https://www.youtube.com/watch?v=irHEV2TmUas


数字が苦手なねことしては、
こういうのを見ると、
3分以内に熟睡できそうです(笑)

2016年2月15日月曜日

「リーマン・ショック」じゃ通じない

皆さま、こんにちは。ねこです。
株価が急降下したと思ったら、
今度は急上昇してみたり、
世の中が何やら騒がしいですね。

そして、経済ニュースで最近よく耳にするのが
「リーマン・ショック以来の~」という表現。
この「リーマン・ショック」という言葉は、
英語でも、つい"Lehman Shock"と
言ってしまいそうになりますが、
実はそれでは通じません。
(※2013年8月にも書いた内容ですが、
ねこ自身も忘れていたので復習です)

この出来事を英語で表現するとしたら、
"Bankruptcy of Lehman Brothers"
【バンクラプスィー・オヴ・リーマン・ブラザーズ】
つまり、「リーマン・ブラザーズの倒産」という言い方になります。

もしくは、"Lehman Brothers' Collapse"
【リーマン・ブラザーズ・カラプス】
「リーマン・ブラザーズの破綻」という感じですね。

あるいは、一連の経済危機を指して、
"financial crisis【ファナンシャル・クライシス】"と
表現したりもするようです。
※【フィナンシャル】よりも、【ファナンシャル】の方が
より英語らしい発音になります。

「2008年のリーマン・ショック以来~」というのは
"~since the bankruptcy of Lehman Brothers in 2008"
という感じです。

外国人と経済の話をしていて、
「やばい、"Lehman Shock"じゃなくて、
何だっけ?」と思ったら、
すかさず、"bank"を思い浮かべて、
そこからどうにかして"bankruptcy"
引っ張り出してきてください。
どうしても出てこなかったら、
"financial crisis in 2008"で逃げ切りましょう(笑)。

って、こんなことを書いてみたものの、
ねこ自身、外国人と
リーマン・ショックの話をしたことなんて
一度もなかったような。。

2016年2月12日金曜日

最近の翻訳の仕事のこと

皆さま、こんにちは。ねこです。
今日は最近の仕事の話を
少し書いてみたいと思います。

これまで主に手がけてきた仕事は、
英語から日本語への字幕翻訳と
英語から日本語への歌詞対訳なのですが、
最近、それ以外の案件も増えてきました。
日本語から英語への文書翻訳です。
プロフィールや作品解説などが多いですね。

英日も日英も違いはないと
思っている方も多いかもしれませんが、
実はこの2つは、根本的に違います。

英日翻訳は、基本的に、
自分だけで完結できます。
(解釈で迷う時は、ネイティブに
相談することもありますが)

しかし、日英翻訳というのは、
必ずネイティブに
確認してもらう必要があります。
どんなに頑張って実力をつけて、
文法を綿密に確認して書いても、
“ん~、何だか不自然”と思われる文章が
どこかに混ざってしまうものなのです。

例えば、外国人の女性の友達が
LINEメッセージで、
「入浴終わったか?」という
日本語を書いてきたとしましょう。

意味はわかります。
文法も間違っていません。
でも、何だか違和感がありますよね。
日本人の女性が仲良しの友達に
LINEで書くとしたら、
「もうお風呂出た?」
という感じでしょうか。

もちろん、精進を重ねていけば、
そういう不自然さを
削ぎ落としてはいけるはずですが、
それでも、公共の場に出すような文書は
必ずネイティブチェックが必要になります。
(ただ内容さえ伝われば問題ないという
個人的なメールの場合は、
この限りではありません)

ねこは、今の段階では、
日英翻訳の話をいただくと、
すごく尻込みをしてしまいます。
普段は英語から日本語に訳すだけなので、
日本語を英語にするのには慣れておらず、
すごく時間がかかるからです。
さらには、ネイティブにチェックを依頼するために
メールのやり取りなども必要になります。

なので、「日英」と聞いただけで、
「うわっ、めんどくさっ!」と
思ってしまったりするわけなのですが、
しかし、日英の翻訳力を磨いたら、
仕事の幅がすごく広がるのでは、
とも思い始めています。

もう1つ、増えているのが、
吹替えの翻訳です。
こちらは、自分で声を出しながら、
実写やアニメの登場人物の
口の動きに合うように、
日本語の台本を作る作業です。
(実際に読むのは声優さんです)

この仕事は、外では絶対にできません(笑)
また、見直しをする時にも、
常に声を出す必要があるので、
案外、体力(?)を消耗します。
しかも、セリフだけではなく、
口元が映っているかどうかなどを
記号で書き込まなくてはいけないので、
けっこう手間がかかります。

そんなわけで、吹替え翻訳は
ちょっと敬遠しがちなのですが
これも敬遠せずやっていくべきなのか
迷っているところです。

ところで、今どきの翻訳事情も
知っておかないと!と思い、
こんな本を買いました。
「翻訳事典 2017年版」(アルク)



“翻訳者になりたい人の必読誌”と
書いてありますが、辞書などの
ツールの話も取り上げてあり、
現役の翻訳者にも役に立ちます。

“とにかく翻訳者になりたい”と
思っていたころの気持ちを思い出し、
今、手元に仕事があることを
とてもありがたく感じるようにもなります。
さっ、頑張って訳すぞ!


<本日のおまけ>
最近、こんな小ワザを使っています。


移動中、スマホの画面上で、
下訳をしているのですが、
折りたたみ式の簡易キーボードを
持ち歩くようにしたら、入力が速くなりました。

SST G1での作業が必要な時は
ノートPCを持ち歩くしかありませんが、
とりあえず、こういう形で
下訳を進めておくと、
本作業もラクになります。

2016年2月6日土曜日

「イタリック」の発音

皆さま、こんにちは。ねこです。
先日、ニューヨーク在住のアメリカ人と
英文のフォントの話をしていて
とても驚いたことがありました。

"italic"という単語の発音です。
日本では誰もが【イタリック】と言うので、
当然、この発音は英語でも、
これに近いものだと思っていました。
ところが友人が【アイタリック】と言ったのです。

ニューヨークの別の友人にも
尋ねてみたところ、
彼女も【アイタリック】だと言います。

お馴染みのアルクの英辞郎では、
/itǽlik/ 【イタリック】。
http://eow.alc.co.jp/search?q=italic

Cambridge Dictionaries Onlineでも、
/ɪˈtæl.ɪk/ 【イタリック】。
http://dictionary.cambridge.org/pronunciation/english/italic

そもそも、この単語の語源は、
このフォントがイタリアで考案されたので
"italic"と呼ばれるようになったため、
最初は【イタリック】という発音のみ
だったかと思われます。

では、現在は、どの地域の人たちが
【アイタリック】と言い、
どの地域の人たちが
【イタリック】と言うのでしょうか?

友人たちに質問を送って、
情報をかき集めてみました。
ただ、あくまでもこれは、
ねこの友人だけの回答なので、
決して、その地域全体を
代表する回答というわけではありません。
また、都市名、州名、国名を
混ぜて記載していることをご容赦ください。

こちらが調査結果です。

【アイタリック】
ニューヨーク州、ボストン、シカゴ、
ミネソタ州、モントリオール、アイルランド

【イタリック】
カリフォルニア州、オクラホマ州、
スコットランド、イギリス、
香港、オーストラリア

ざっと見たところ、アメリカの
東側の地域で【アイ】と言い、
それ以外は、ほぼ世界中で
【イ】と発音しているようです。
アイルランドの結果が少し不思議なので、
もう少し情報を集めてみたいと思います。

さて、単なる興味本位で、
情報収集をしてみましたが、
結局、ねこが言いたいのは、
「言葉は生きている」ということです。

ある一定以上の文化圏で、
何かを指し示すための
「共通認識」となれば、
それは言葉として成立しているわけです。

「辞書にどう書かれているか」
「語源は何なのか」
そんなことは重要ではありません。

今回の【アイタリック】という発音も、
言葉の成立を考えれば、
最初は間違った発音だったのかもしれません。
しかし、少なくとも、一部の地域では、
皆が【アイタリック】と言うことで、
“ちょっと斜めに傾いたあのフォント”
という共通認識が行われているわけです。

日本のカメラのNikonも、
一部の地域では【ナイコン】と呼ばれています。

北欧家具のIkeaも、
本家のスウェーデンでは【イケア】ですが、
英語圏では、【アイケア】と
呼ばれるようです。

Godivaも、本家のベルギーでは
【ゴディヴァ】ですが、
英語圏では【ゴダイヴァ】とのこと。

で、結局、どう発音すべきなのか?
それは、「相手に伝わるように話す」
この一点に尽きると思います。

アメリカでカメラの話をしていて、
「どんなカメラを持ってるの?」
と尋ねられたら、
【ナイコン】と答えることにしています。

「みんな発音間違ってるけど、
このメーカーの名前は、
正しくは【ニコン】って言うのよ」
だなんて主張したところで、
言語の大きな流れには勝てません。

それにしても、
"five"が【ファイブ】で、
"give"が【ギヴ】(ガイヴではない)だなんて
そもそも英語って変な言葉ですよね(笑)

ま、とにかく、言葉なんて、
人と人がコミュニケーションを取るときに
通じりゃ何でもいいんです。
気楽にやっていきましょう♪