皆さま、こんにちは。ねこです。今日は字幕翻訳者さん向けのお話です。SSTを使って字幕制作をしている皆さん、SSTでのスポッティング作業の速度は、どんな感じでしょうか。私は25分間の作業で、およそ映像8分尺ぐらいのスポッティングをしています(※25分作業をしたら5分間休憩を取るため、計測単位は25分)。
といっても、これは、イン点だけのスポッティングで、アウト点は、訳しながら調整していきます。具体的に解説しましょう。
まず、映像全体を長い1つのハコにします。23分の映像だとしたら、23分を1枚にしちゃうのです。そして、最初から1枚ずつ、「現字幕の分割」で切っていきます。
ここで大事なのは、ショートカットキーの設定です。「ファイル」→「ショートカットキー設定」で、「現字幕の分割」のところに、私は「Ctrl+D」を割り当てました(※DivideだからDでどうかなと)。すぐ修正ができるように「後ろに存在する字幕と結合」には「Ctrl+K」を割り当てています(※KetsugouのKです:笑)。
スポッティングの時の手のポジションは、次のとおりです。
左手の小指:「Ctrl」
左手の中指:「D」
右手の薬指:「→」
右手の人差し指:「←」
これで「→」を長押ししながら音の出を確認し、聞こえたところからトントンと「←」を押してイン点を決め、「Ctrl+D」でスパッ! 長い羊羹(ようかん)をストンストンと切っていく感じです。
カット変わりで切る様子をスクリーンショットにしました。「イン点は1フレ、アウト点は2フレ内側、字幕間3フレ」という指定ということにします。今、TCのフレームは17になっていますね。
次の18でカットが変わりました。
イン点は1フレ中なので、切るのは19。
ここで、「Ctrl+D」でスパッ!
これ、何がすごいかって、「イン点は1フレ、アウト点は2フレ内側、字幕間3フレ」という指定なので、前の字幕のアウトも、これでピッタリ合っているんです。言ってる意味、わかるかしら? わからなかったら、実際にSST上で、同じことをやりながら、確認してみてくださいね。
別の例もお見せしましょう。イン点だけで切っていくと言いましたが、イン点のほんの少し手前にカット変わりがあって、前の字幕のアウト点をそこに合わせた方がいい場合は、まず、そちらに合わせて切ってしまうという方法があります。
こちらをご覧ください。TCのフレームが23になるとカットが変わるので、1フレ中の24でスパッと切りました。
では、前の字幕のアウト点を確認してみましょう。字幕の間隔を3フレ強制にしてあるので、20が前の字幕の最後のフレームになります。
21と22はハコの外で、カット変わり前ですね。
23がカット変わりで…
24が次の字幕のイン点になっています。
ただし今回は、実際に音が出るのが、もう少しあとなので、現在のイン点にカーソルを合わせて、「Shift」+「→」を押し、トントントンと音の出るところを探します。そして「音の出たところから2フレ戻し」という指定なら「Shift」+「←」でトントン。はい、これで、前の字幕のアウト点のカット変わり処理も、次の字幕の音に合わせたイン点もバッチリです。
スパッと切ったあと、「あっ、しまった!」ということがあっても、焦らず騒がず、「Ctrl+K」でくっつければ元どおり。
この方法だと、30分番組なら2時間程度で切り終わります。そのあとの手順としては、原文をコピペしながら、アウト点を縮めていきます(続きの作業については、またあらためて書きますね)。
ちなみに、字幕翻訳スクールでは、こんなふうには習っていません。これには、なかなか悲しい事情がありまして…。35万円という大金を出してSST G1を買った直後、SSTが暴走するという事態が起きたのです。どういうわけか、「Shift」+「→」を押すと、時々、そのまま再生が止まらなくなり、「Esc」でも、「Ctrl」+「Alt」+「Del」でタスクマネージャーを出しても止まらず。この状況が頻発したため、やむを得ず、こんな方法を考え出出すことになったのです。でも、なかなか効率がいいので、それ以来、すっかり気に入り「羊羹戦法」と呼んで愛用しています(笑)。
ちなみに、普通に学校で習う方法でスポッティングをしていた人が、急にこの方法に切り替えると、アウト点を縮め忘れるということが起きるようなので、羊羹戦法導入の際は、十分お気をつけくださいませ。
ちょっとしたテクニックやアイテムを導入して、作業効率を上げると、その分、じっくり字幕を練る時間が確保できます。8ボタンマウスやデュアルモニターの導入も、ぜひ、ご検討くださいね。
<関連記事>
裏ワザ補足説明
https://interesting-languages.blogspot.com/2013/10/blog-post.html
ハコ切り天国
https://interesting-languages.blogspot.com/2017/08/blog-post_16.html
2020年7月20日月曜日
2020年7月13日月曜日
”Oh my God"の訳語を考える
皆さま、こんにちは。ねこです。ここのところ、シリーズで訳している車関係の番組で、やたらと"Oh my God"を連発する登場人物がいます。もちろん、これを「ああ 私の神様」と訳すわけにはいきません。「なんてこった」というのも、ちょっと古くさい印象。というわけで、これまでに使った訳をいくつか挙げてみました。
・すごい
・驚いた
・びっくり
・参った
・マジかよ
・ウソだろ
・ヤバい
・マズい
・冗談だろ
セリフの字幕を訳す時、特に大切にしているのは、「もし、この人が日本語で話していたら、ここで何て言うだろう」と考えてみることです。文字を訳すというよりも、感情を訳すという感覚に近いでしょうか。
以前、翻訳家の柴田元幸氏のトークショーに行った時、「字幕を作る時に、このセリフの核は何か、ユーモアなのか、辛辣さなのか、そこを考えて言葉を選ぶ」と仰っていました。字面だけにとらわれず、しっくりくる日本語を探りながら、引き続き頑張って訳します。
柴田元幸氏が字幕を訳す
https://interesting-languages.blogspot.com/2015/11/blog-post_19.html
・すごい
・驚いた
・びっくり
・参った
・マジかよ
・ウソだろ
・ヤバい
・マズい
・冗談だろ
セリフの字幕を訳す時、特に大切にしているのは、「もし、この人が日本語で話していたら、ここで何て言うだろう」と考えてみることです。文字を訳すというよりも、感情を訳すという感覚に近いでしょうか。
以前、翻訳家の柴田元幸氏のトークショーに行った時、「字幕を作る時に、このセリフの核は何か、ユーモアなのか、辛辣さなのか、そこを考えて言葉を選ぶ」と仰っていました。字面だけにとらわれず、しっくりくる日本語を探りながら、引き続き頑張って訳します。
柴田元幸氏が字幕を訳す
https://interesting-languages.blogspot.com/2015/11/blog-post_19.html
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