2011年2月24日木曜日

イギリスって難しい!?

皆さま、こんばんは。ねこです。
音楽DVDの字幕翻訳をしていて、今日のお昼に納品しました。

さて、この音楽DVD、アイルランド出身の
ミュージシャンのものだったのですが、
この周辺の国名の扱い、なかなか難しいものがありました。

ちょっと整理してみましょう。
話をわかりやすくするためにまずは「イギリス」の説明から。


イギリスの正式名称は英語で
"United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland"
と言います。

日本語では、「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」
あるいは「グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国」です。
この通称が「イギリス」あるいは「英国」です。
"English" が訛って「エゲレス」→「イギリス」となったそうですね。

さて、では "GB : Great Britain(グレートブリテン)" という名称には
何が含まれるのか?

・England(イングランド)
・Scotland(スコットランド)
・Wales(ウェールズ)

以上が含まれます。
(※EUのナンバープレートでは北アイルランドも含めて "GB" と表示します)


"UK : United Kingdom(連合王国)" と言った場合は?

・England(イングランド)
・Scotland(スコットランド)
・Wales(ウェールズ)
・Northern Ireland(北アイルランド)

以上が含まれます。

これらの4つは非独立国で、それぞれ首都を持ちますが、
イングランドの首都であるロンドンは、
イギリスの首都も兼ねています。

ここで、ちょっと難しいのが、"British" という言葉の使い方。
上記の区分けで言うと、イングランド人だけでなく、
スコットランド人やウェールズ人のことも
"British" と呼んでよさそうな気もしますが、
民族的アイデンティティーが違うといって、
それを快く思わない人々もいるとのこと。
このあたりについては、マスコミ各社でも
意見が分かれているとのだとか。


さて、アイルランドに話を移しましょう。
長い歴史の最後のほうだけかいつまんで説明すると、アイルランドは、
1938年にイギリスから独立を承認され、イギリス連邦内の共和国になり、
1949年、イギリス連邦を脱退しました。

現在の国際連合やヨーロッパ連合での登録国名は"Ireland" で、
日本政府も「アイルランド」という名称を使うとしています。


今回、訳していて戸惑った点は、
字幕の中で「イギリス」という言葉を使うかどうかです。
英語話者でも、"United Kingdom" の意味で "England" と言う人もいます。
そう考えると、"England" という音声に「イギリス」という字幕をあてても
OKということになります。

日本人の感覚として、「イギリス」という字幕のほうが
「イングランド」という字幕よりも自然に感じるのでは?
と思うと、「イギリス」と表記したいところ。
でも、アイルランド人が "England" と言ったなら、
やはりそれは「イングランド」としたほうが無難かなぁ…と。

でも、「イングランド」というと、
サッカーのイメージばかりが思い浮かんでしまうのは
ねこだけでしょうか?

とりあえず、納品した字幕原稿には
「イングランド」という表記を使いました。
現在、翻訳エージェントと相談中なので、
どうなったかは、またブログの中でご報告しますね。(^^ゞ