2011年6月8日水曜日

否定のニュアンスを含む単語 その2

不思議なものですね。
前回、"not"を使わなくても否定のニュアンスになる表現を
特集しましたが、そのブログをアップした翌日、
また、同じタイプの表現に遭遇しました。
"last" を使ったものと、"almost" を使ったものです。


こちらの英文、あなたならどう訳しますか。

She is the last person to cook.

×「彼女は料理をする最後の人だ」

と訳しちゃった人、
意味として間違いとは言えませんが、ちょっと惜しい!

○「彼女は絶対に料理なんてしない」

が正解です。

つまり、他の誰もが料理をするとしても
彼女は本当に最後の最後まで料理をすることを
渋るだろうなぁ…というニュアンスになるわけです。


同様の表現として、こちらはどうでしょう。

Fishing is the last thing to do.

×「釣りは最後にすることだ」

ではありません。

○「釣りなんてするもんじゃない」

が正解です。

釣りをするくらいなら、まだ他にもたくさん
やることがあるというニュアンスですね。
(ちなみに、私は釣りが好きなんですが
他にいい例文が思い浮かばなくて…)(^^;


"almost" という単語は、"last" とはちょっと違う形で
否定のニュアンスを表します。

I almost forgot.

×「私はほとんど忘れた」

ではありません。

○「私はあやうく忘れるところだった」

というわけで、ほとんど(almost)忘れそうだったけど
どうにか無事、忘れなかったというわけです。


こういう表現は、見た目がシンプルで、
普通に訳せた気がしてしまうので、
つい見落としてしまいますよね。

でも、次に "last" や "almost" などを見かけたときは
ちょっと疑ってみてください。

2011年5月31日火曜日

否定のニュアンスを含む単語

今日は否定のニュアンスを含む単語について
お話ししたいと思います。

"not" という言葉を使わなくても、
事実上、否定のニュアンスになるという表現がいくつかあります。

その代表例が "hardly"。
"hard" に "-ly" がくっついたから、
「強く」という意味の副詞かしらと思ったら大まちがい。
なぜかこの単語、「ほとんど~ない」という意味になります。

例文を紹介しましょう。

I can hardly see it.
ほとんど見えない

I hardly have enough time to study.
ほとんど勉強する時間が取れない

I hardly ever go out.
ほとんど外出しない

ちなみに、"hard" は形容詞も副詞も "hard"です。

<副詞としての使用例>
He hit the wall hard. (← "hardly" とは言いません)
(彼は壁を強く叩いた)


もう1つ、"little"という単語にも要注意です。
"little" か "a little" かで、意味がかなり変わります。

I know little about Italy.
(イタリアについて、ほとんど何も知りません

I know a little about Italy.
(イタリアについて、少し知っています


"few" は数えられる名詞にくっついて、
"little" と同じようなニュアンスで使われます。

Few people know it.
(それを知っている人はほとんどいない

A few people know it.
何人かの人はそれを知っている)


今度、"hardly" "little" "few" を見かけたら、
ぜひ、ちょっと気をつけて訳してみてくださいね。

2011年5月26日木曜日

アンテナショップ

ブログはこまめにアップを…と思いつつ、
ここのところ、ずっと滞っててすみません。(^^;
書きたいことは、てんこもりなんですが、
なかなか時間が取れませんでした。

でも、「忙しい」「時間がない」と口に出してしまうのは
「自分は効率よく行動できていない」と言ってるようなものだ
というのを何かで読んだことがあります。
ん~、気をつけよっと。


さて、今日の話題は「アンテナショップ」。
最近よく聞く言葉ですが、
父に「アンテナショップって何?」と聞かれ、
即答できず、思わずネット検索しました。

ウィキペディアでは、以下のように定義されています:

「アンテナショップとは企業や自治体などが自社(当該地方)の製品の紹介や消費者の反応を見ることを目的として開設する店舗のこと」

三省堂の大辞林の定義はこちら:

「新商品を試験的に売り出す小売店舗。消費者の反応を探るアンテナの働きをもつことからいう。パイロットショップ」

デジタル大辞泉の定義はこちら:

「1 製造・流通業者などが、新製品などを試験的に販売する店。消費者の反応を調査して商品開発に役立てる。パイロットショップ。
2 地方自治体が東京・大阪などの繁華街で地元の特産品などを販売する店。祭などの情報も流し、大消費地の傾向を調査するねらいがある。サテライトショップ」

なんとなくイメージはできてきましたね。
つまり、アンテナを張って情報(消費者の反応)を知るための店
ということになるでしょう。

ところで、この "antenna shop" という言葉、
英語でも使われているのでしょうか。

Googleで文例を探そうとしても、オンライン英英辞書を使っても、
なかなかお目にかかることができません。
ネイティヴスピーカーに確認してみましたが、
やはり、これは日本独特な表現のようです。

同様に「セレクトショップ(select shop)」という言葉も
日本だけの表現です。

ちなみに、ウィキペディアでの定義はこうなっています。

「セレクトショップは、小売店の形態の一種である。ひとつのブランドやデザイナーの商品だけを置くのではなく、その店のオーナーやバイヤーのセンスで仕入れたものを陳列・販売している店舗のこと。服飾・小物などを扱うファッション関連分野に多い」


今、世の中にはカタカナ言葉が溢れています。
たしかに、カタカナのほうがなんとなくカッコよかったりもするでしょう。
しかし、英語学習者としては、
“これは実際に英語として使える表現なのかな”
ということを意識しながら、1つ1つの言葉と向き合っていきたいものですね。

2011年5月14日土曜日

"the" の発音

"the" には2種類の発音がありますね。
通常は【ザ ðə】で母音の前では【ズィ ði】になります。

ではどうしてこのようなルールができたのでしょうか。
それは、言葉の成り立ちというものを考えてみれば簡単。
“そのほうが言いやすかったから”です。

おそらくどの言語についても
コミュニケーションのための話し言葉が先に存在し、
それを記録するために書き言葉が作られたはずです。
そして、後付けで理由を説明するために
文法ができました。
そんなわけで、誰もが母国語を話すときは、
文法や発音のことは考えなくても済んでしまうのです。

ところが、外国語として言語を学ぶ者にとっては、
文法や発音は頭痛のタネになります。
【ザ】と【ズィ】も自然に使い分けられるわけではなく
後に続く単語を見て判断しなくてはなりません。

では、そのルールをあらためて整理しておきましょう。
まず、母音の前では【ズィ】に変わるというのが基本です。

the apple 【æ'pl
the egg 【e'g
the orange 【ɔ'ːrindʒ

これらは全部母音の前なので【ズィ】というのはOKですね。

さて、こちらはどうでしょう。

the year 【ji'ər
the woman 【wu'mən

カタカナで書くと、「イヤー」「ウーマン」なので、
母音だと勘違いしがちです。
しかし、"y" と "w" は母音ではありません。
言語学的には「半母音」と呼ばれるものです。
なので、この2つは

【ザ・イヤー】
【ザ・ウーマン】

となるわけです。

では、こちらはどうでしょう。

the one 【wʌ'n
the hour 【a'uər

"one" は綴りが "o" で始まるので母音と間違えそうですが、
発音記号で書くと【wʌ'n】なので、【ザ・ワン】が正解。

逆に "hour" は "h" から始まりますが、
発音記号では【a'uər】なので、【ズィ・アワー】となります。

ご理解いただけましたか?
余計に混乱しちゃったかしら。(^^;

とりあえず、ルールの整理はしてみましたが、
ぜひたくさん英語を聞いて、耳で覚えてくださいね。

そして、もう1つ重要なこと。
【ザ】って言おうが【ズィ】って言おうが通じればいいじゃん!
という開き直りも大切に。^^

2011年5月2日月曜日

コミュニケーションについて大いに語る

5月に入りましたね。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

さて、今日はコミュニケーションのための言葉
というものについて、大いに語ってみたいと思います。

このブログを読んでくださっている皆さんの大半は
おそらく何らかの形で言葉に興味を持ち、
英会話などを勉強されている方かと思います。

では、皆さんが言葉を勉強する目的は何ですか。
具体的にはどんなスキルの向上を目指していますか。

英会話学校の生徒さんにこの質問をすると、
答えは大きく分けて3つになります。

・仕事で必要だから
・海外旅行で話せるようになりたい
・趣味として英会話の勉強を楽しみたい

どれも素敵な回答ですね。^^

一番目的がはっきりしていて勉強しやすいのは、
仕事のために学ぶ人。
出張や電話会議、メールなどで必要な表現を
とにかく頭に叩き込んでいけば、
案外なんとかなってしまいます。
もちろん、相当な努力は必要ですけどね。(^^;

海外旅行で話せるようになりたい人は、
まず、旅先で想定される会話のフレーズを
どんどん覚えていくと、
電車の利用やレストランでの注文などが
楽にできるようになるでしょう。
ねこは旅行用のイタリア語とドイツ語ができます。
話題が他に逸れるとアウトですが(笑)

趣味として学ぶというのは、一番素敵な動機ですね。^^
“英語自体が面白くてたまらない”
“学んでいる自分が好き”
その気持ちを本当にずっとずっと大切にしてください。

さて、すべての目的に共通して言えること。
それは“目的を遂げることを最優先しましょう”
ということです。

例えば英語で会話をする場面。
大切なのは相手の言っていることを把握し、
自分の伝えたいことを伝えること。

もちろん正確な文法ときれいな発音で話せたら
それは素晴らしいことです。
でも、大事なのはそこじゃない!

例えば、外国人に近くの郵便局への
道を聞かれたとしましょう。
いろいろな伝え方があるはずです。
単語を並べる。指をさす。
時間に余裕があるのなら、
「こっちですよ」と言って、
見えるところまで連れていったっていい。

他の言語で話す必要があるときも、
本来の目的は“理解すること”
“伝えること”だというのを
決して忘れないでほしいのです。

英会話の講師をしていると、
みんな、もっともっと“伝える”ための
努力をしようねと思うことがたくさんあります。

単語力、文法力、発音の正確さなどとは別に
“伝える力”というものもあります。
初心者の生徒さんでも、
コミュニケーションに長けている人は
簡単な単語を並べてとても器用に気持ちを伝えます。
逆にとてもハイレベルな力を持っているにもかかわらず
難しい単語で立派な文章を作ろうとして、
頭の中で悶々としてしまう人もいます。

とにかく声を出して、表情も身振りもつけて、
全身で伝える練習をしましょう。
それが何よりも重要なことです。^^

もちろん、伝えるときのストレスを減らすために
単語、文法、発音にしっかり取り組むことは大切ですよん♪
ねこ自身も、まだまだです。
ぜひ一緒に頑張りましょう!

2011年4月19日火曜日

fish

なかなかブログを書く時間が取れなくて困ったものです。
今日は簡単に "fish" という単語についてお話しましょう。

はい、皆さん、お魚が1匹なら "fish" です。
では、たくさんいたら何と言うでしょうか。

つい、うっかり "fishes" と言ってしまいそうになりますが、
お魚はどんなにたくさんいても "fish" です。

ただ、何種類かのお魚がいて、
その種類の違いを強調したいときは "fishes" という表現も
使えなくはないようですが、
その場合でも、"two kinds of fish" という方が一般的です。

こういう例外的な文法って困っちゃいますよね。
でも、鳥ならたくさんいたら "birds" なのに、
どうして魚はたくさんいても "fish" なの?と考えても仕方がありません。
そういう研究は言語学者さんたちに任せておくことにしましょう。^^

どんな言語でも、最初にコミュニケーションのために言葉が存在して、
文法というものは、その言語の構造を説明するために
後から無理やり整理整頓して作り出されています。
だから、どう頑張っても整理しきれない“例外”もたくさん存在します。

結局のところ、そういう例外も含め、言葉にたくさん触れて、
感覚として丸ごと覚えてしまうのが、
結果的には語学上達の近道だったりするわけです。
というわけで、今日も音読とシャドウイングを頑張りましょう♪

ところで、"fish" から派生した単語に面白いものがあります。
"fishy" という形容詞です。
「魚の」「魚のような」「魚臭い」などの意味がありますが、
面白いのは、「胡散臭い」「疑わしい」「怪しい」
などの意味もあるということ。

「この魚、なんだか生臭い」→「ちょっとヤバイんじゃない」→「疑わしい」
というような流れで、こういう用法が生まれたのだとか。
ほんと、言葉って、案外いい加減にできてるものですね(笑)。

2011年4月8日金曜日

シャドウイングで会話力アップ!!

皆さま、ご無沙汰しております。
ブログをサボっている間に、桜が咲いちゃいました。(^^;













また頑張って更新していこうと思いますので、
よろしくお願いいたします。

さて、今日はシャドウイングについてお話しましょう。
シャドウイングとは、通訳者のトレーニング方法として有名なものですが、
普通に会話力向上にも大変役に立ちます。

やり方はとてもシンプル。
ヘッドフォンなどで外国語を聴き、
耳から聞こえたままを0.2秒遅れぐらいで話すというものです。

まずは日本語で試してみるといいかもしれません。
ニュース番組のアナウンサーが話す言葉を
そのまま繰り返してみましょう。
スムーズにはできなくても、日本語ならある程度はできるでしょう。

さて、これを外国語でやるとなると、最初からうまくはいきません。
でも、慣れれば必ずできます。

シャドウイングの練習を始めるにあたって、
教材選びはとても重要です。
CDなどの音源と、英文スクリプトがあるものを使いましょう。
そして、レベルに合ったものを選びましょう。
知らない単語の数が全体の1~2割程度のものだと
あまりストレスもなく始められると思います。

では、シャドウイングをする準備をしましょう。

1)まず、本文を黙読します。
(わからない単語は、この時点でチェック)
2)次にCDで音声を聴きながら黙読します。
3)声を出して何度か音読してみます。
(発音がわからないところがあったら、もう一度CDを聴きましょう)
4)CDをかけて、CDと一緒に音読してみます。何回か繰り返しましょう。

ここで初めてシャドウイングの練習に入ります。
CDと一緒に読めるようになっていれば、
案外すんなりできるかと思います。

耳から聞こえてくる音をそのまま口から出すというイメージ。
実際に脳はフル稼働しているわけですが、
イメージとしては、音が耳から入ってそのまま口から出ていく
という感じです。

ヘッドフォンやイヤホンをつかったほうがやりやすいかと思います。
ラジカセのスピーカーの音を聴きながらだと、
自分の声のせいで、CDの音声が少し聴き取りにくくなります。

うまく繰り返すことができなかったときは、
そのセンテンスをあきらめて、
次の文章の頭から再び頑張って追いかけてみましょう。
慣れればどんどんできるようになります。

シャドウイングをするメリットとしては、
次のような効果が考えられます。

・発音やイントネーションが身につく
・さまざまな表現を頭ではなく体で覚えることができる
・リスニング力もアップする
・訳さずに理解する練習になる

シャドウイングの教材として何を使うかは、
レベルやニーズによって変わってきますが、
NHKの語学番組のスキットは、
どれもよく考えて作られているものなのでオススメです。

英語で言うなら、初心者さんは『基礎英語1~3』の中で
自分のレベルに合ったものを。
中・上級者さんは遠山先生の『ラジオ英会話』をオススメします。
ねこ自身、今も毎日『ラジオ英会話』を聴いて、
シャドウイングをしています。

ラジオは面倒くさいと思っている人、
今は前の週の放送をネットのストリーミングで聴くこともできるんですよ。
http://www.nhk.or.jp/gogaku/english/kaiwa/index.html

英会話学校に通っている方は、
今使っているテキストの本文を利用するといいでしょう。
頭ではなく口が覚えてしまうぐらい練習すれば、
実際の会話でも、考える前に言葉が出てきます。^^

上級者の皆さんは、DVDを使って
映画やドラマのシャドウイングをするのもよいでしょう。
3~5分の好きなシーンを選び、まずは日本語字幕を確認。
次の英語字幕にして登場人物と一緒に話してみます。
いきなりナチュラルスピードにはついていけないと思うので、
何度か繰り返し練習してみましょう。
そして、字幕をオフにしてシャドウイングです。

本当に慣れてくれば、テレビやラジオから聞こえてくる音声を
その場で、いきなりシャドウイングということもできるようになります。
これがクセになってしまい、電車の中などでやってしまうと
ちょっとアヤシイ人になっちゃうのでご注意を(笑)。

「シャドウイングをしようとすると
発音がめちゃくちゃになっちゃうんですが…」
という相談を受けたことがあります。

そんなときは、こんなふうに分けて練習しましょう。

1)"f" "v" "th" "l" "r"などを意識しながら、CDなしでゆっくりと音読
2)細かい発音は気にせず、ひたすら必死でシャドウイング

実は、ねこ自身、2010年の夏ぐらいまでは
英語を話すことが苦手でした。
(なにせ翻訳者ですから)(^^;

でも、英語を学ぶ楽しさをたくさんの人に伝えたいという一心で、
がむしゃらにシャドウイングの練習を続けて、
どうにかこうにか英会話の先生になった次第です。

練習は絶対に裏切りません。^^
英語に触れた絶対量がすべてです!
頑張りましょう♪

さてと、今日は『アグリー・ベティ』のシャドウイングでもしようかな。