2023年6月30日金曜日

通訳ガイドフォトグラファーという仕事

皆さま、こんにちは。ねこです。今日は「通訳ガイドフォトグラファー」というお仕事について、ご紹介しようと思います。

2017年に通訳ガイドとして仕事を始めた時、「せっかくなら観光中の写真を撮ってあげようかしら」と思って、ハイスペックのコンパクトカメラを持っていきました。

すると、「ティーンエイジャーの娘たちが、こんなに笑顔で写ってる家族写真なんて、いつ以来かしら!」と、予想以上に好評だったので、観光案内と写真撮影をセットにして提供するようになりました。

(※2017年4月・浅草寺。お客様から写真掲載の許可をいただいております)

2018年に通訳ガイド仲間のために写真講座を開催したことがあるので、その時のブログの一部を再掲しますね。

1)お客様が求めるのはどんな写真?

お客様がガイドに撮ってほしいのは、どんな写真でしょう?

A) アーティスティックな美しい写真
B)普通の写真

正解はB)の普通の写真です。

スマホの普及で写真を撮る機会が増え、人を「おおっ!」と言わせるようなステキな写真をお客様は自分自身で撮りたがっています。なので、ベストなフォトスポットを把握して、いい写真を撮る機会を提供しましょう。

ガイドがツアー中に撮ってあげるべきは、いわゆる「普通の写真」です。

2)普通の写真って?

・全員がちゃんとカメラ目線で笑って写っている
・場所や状況がよくわかる

この2点、簡単そうで、意外と難しいのです。例えば、10人の集合写真を撮ろうとすると誰が目をつぶってしまったり、横を向いてしまったりします。

また、人にフォーカスしすぎて、人物の顔だけの写真になってしまい、それが日本なのかアメリカなのか、はたまたオーストラリアなのかわからない写真を撮ってしまうこともあります。

3)鉄則

・視線が散るので絶対に同時にカメラを向けてはいけない!!

これは、写真の師匠に最初に習ったことです。例えば5人で集合写真を撮っている時に、もう1人、誰かが同時にカメラを向けたら、2人は自分のカメラを見て、他の3人は別のカメラを見るかもしれません。そうすると、人の視線がまばらな力のない写真になってしまいます。

この鉄則を知らない人が本当に多いのですが、集合写真を撮る時は、全員の視線を1つのカメラに集中させましょう。

(最近、ランナーさんの集合写真を撮ることが多いのですが、あえて視線をそらすポーズをするのが流行っているようですね。最初はそれに気づかず、撮った写真をパソコンで見て、途方に暮れていました:苦笑)

・1枚だけでなく、できれば最低3枚同じカットを撮る

いわゆる「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」というやつです。1枚だけだと、誰かが目をつぶったり、口が動く瞬間だったりと、残念な写真になることがあります。でも、3枚ぐらい撮っておけば、どれか1枚ぐらいは、OK写真があるはずです。

実際、CDジャケットの撮影などでは、1時間で数百枚から千枚近く撮り、その中から1枚だけ選ぶような作業をしています。

・必ず声をかけながら撮る

これは撮るタイミングを被写体に知らせる意味もありますが、実は周囲に対する牽制でもあります。「さあ、撮りますよオーラ」を最大限に発揮することで、撮影中、他の人がフレーム内に入り込むのを防ぐ効果があります。

・下見の際に、必ず構図の研究をし、アングルを覚えておく

友人やガイド仲間と観光地を歩く際、どこでどういう角度で撮ったら、いい写真が撮れるのかを研究しておくと、本番のガイディングでスムーズにいい写真が撮れます。


特に都内の定番スポットについては、お客様をどの位置に立たせて、自分がどの位置に立って、どういう角度からどの部分をフレームに入れるといい写真になるかを把握しています。

4)実例

では、ここからは実例をお見せしましょう。

左の写真は、しゃがんで撮ってしまったのですが、そのせいで鳥居の大部分が隠れてしまいました。その反省を生かし、右の写真では、立ったまま撮り、鳥居の大きさを強調しています。

左の写真では、人にフォーカスしすぎて何に触っているのかがわかりません。右の写真は、全体が入っているので、大わらじの大きさもよくわかります。

5)まとめ

・お客様が求めているのは旅の思い出を語るための写真
・友人に旅の思い出を語る時にどんな写真がほしいか考えてみると答えが見えてくる
・必ず数枚撮る
・自分なりのベストスポットを把握しておく


■参考資料

通訳案内士のための撮影ガイド、好評発売中です。

 

外国人向けの都内撮影ガイド(英語版)もあります。

 

通訳ガイドとして、どんなトレーニングをしているかは、「英語のプロは何をしてきたのか」の第4章に詳しく書いています。

 

ガイド用英語の練習は、こちらの書籍にお世話になっています。MP3のシャドーイングをやっています。


ガイドの皆さま、ガイドを目指す皆さま、外国人のクライアントやお友達を日本でお迎えする機会のある皆さま、何か参考にしていただけることがあれば幸いです。