皆さま、こんにちは。ねこです。すっかりご無沙汰しております。ふと気づいたら、これまで使っていたAmazonのリンクが機能しなくなっていました。過去の記事が、ちょっと読みにくい状態になっているので、これから対策を考えようと思っています。
さて、久しぶりの投稿の話題は、映像翻訳とAIです。先日、JVTAのサマースクールで“「映像翻訳者×AI」の最新事情を公開!”というオンラインセミナーを視聴しました。
まずは翻訳におけるAIの活用についての基本的な解説。その後、AI映像翻訳の実演ということで、短編映画をDeepL Pro、ChatGPT、Subit!を使って作った字幕が紹介され、さらには、訳出された字幕をポストエディットする演習もありました。
(ポストエディット:機械翻訳エンジンから出力された訳文を人がチェックし、必要に応じて訳文の誤りや表記の統一などを編集、手直しする作業、工程のこと)
3種類の字幕、当然ながらDeepLやChatGPTは、大幅な字数オーバーになってしまうものが多く、映像が出ている間に読み切れないという致命的な問題が起きます。Subit!は、その点はさすが字幕用に開発されているため、字数や要約の仕方についても、なかなか考慮されています。
とはいえ、どの字幕も、そのまま映画やテレビ、動画配信などで使えるレベルには至っていないので、最終段階で人間が話の流れや読みやすさなどを考慮して、編集する必要があります。これがポストエディットを呼ばれる作業です。
セミナーでポストエディットの演習に取り組んだ後、ハッとしたことがありました。機械翻訳の訳文を参照しながら編集をするのが目的であるにもかかわらず、ふと気づいたら、じっと原文を見つめ、「AIよりいい字幕を作ってやるぞ!」と気合いを入れてゼロから翻訳していたのです。
AIの力を借りる演習なのに、AIと戦っちゃダメじゃんっ!!(苦笑)
世の中に多種多様な映像が溢れる今、求められる字幕も多様化しているのだと思います。少人数で視聴する社内用動画で、あまりコストをかけられないから、見た人が内容を把握できればOKという依頼も増えているのでしょう。
ハイスピード、低コストに対応すべく、AIで大筋の字幕を作り、人間がちょこっと手を加えて仕上げる。そういった字幕のニーズは、どんどん増えていきそうですね。
映画やテレビのために、コンテクストや画面情報なども含めて考え抜かれた字幕というのは、まだAIにお任せできる段階ではなさそうですが、いずれにしても、AIや機械翻訳を「敵」とは考えず、どうやってAIの力を借りて作業効率化を図るかを考えていくのが得策という気がします。
超高齢でスマホを使いこなすカッコいいおじいちゃんやおばあちゃんって、たまにいますよね。新しいテクノロジーに対して、常に心を柔軟に、ワクワクしながら迎え入れていけば、そんな人になれるんだと思います。
今の世の中、AIに抵抗したところで、時代遅れになってしまうだけ。リスクや利便性をしっかり見極めつつ、ワクワクする未来を引き寄せていきたいですね。
<本日のおまけ その1>
2023年4月に書いた「ChatGPTを翻訳支援に使ってみた」という記事です。
https://interesting-languages.blogspot.com/2023/04/chatgpt.html
<本日のおまけ その2>
JVTAサマースクールのセミナーは、9月9日まで、まだまだいっぱいあります。
個人的にものすごく気になるのは、8月18日のYouTube配信。「翻訳AIの実力を字幕クイズで判定したら「やっぱり人間ってスゴい!」とわかった件」。その他、どれも視聴したいセミナーだらけなので、ここには書き切れませんが、翻訳に興味のある方、英語に興味のある方、こちらの一覧をご覧ください。一部を除いて、全部無料ですよー。
https://www.jvta.net/tyo/summer2024/