2017年5月13日土曜日

改善すべきは試験内容では?

皆さま、こんにちは。ねこです。
衆議院国土交通委員会で、
通訳案内士の業務独占廃止を含む法案が
可決されました。

これ自体、大問題ではあります。
しかし、それ以前に、
通訳案内士試験の内容に
大きな問題があるような気がしています。

1)2016年度の日本語による筆記試験は、
多少改善されたように感じましたが、
2015年度の試験では、
「それを知っていてどうする?」
というような問題がいくつも出題され、
ガイドになる資質のある人が大勢、
不合格になったという印象がありました。

迷走!通訳案内士試験(2015年に書いた記事です)
http://interesting-languages.blogspot.jp/2015/08/blog-post_31.html

2)合格者の英語レベルの低さ。
現在、通訳案内士試験では、TOEIC840点があれば
英語の筆記試験が免除になります。
(※この点数でも、会話が全然ダメな人はいるし
逆にもっと低くても流暢に話せる人もいます)
そして、二次試験の合格率はなんと70%前後。
多少たどたどしい英語でも、
それなりに内容がきちんとしていて
好感度が高ければ合格してしまいます。

その結果、ウルトラクイズ級の知識を持った
あまり英語の話せない通訳案内士が
誕生してしまうというわけです。
(※もちろん、すばらしい通訳案内士さんも
本当にたくさんいらっしゃるので
これを読んで腹を立てないでくださいね)

こんな状態が続いていては、
「(使える)通訳案内士が足りない」という
状況に陥るのも無理はありません。
受かるべき人が不合格になっているからです。

資格取得後、通訳案内士団体の研修を受けると
どんなふうにガイディングをすべきか、
どんな準備が必要なのかを
これでもかというほど見せつけられます。
「自分には、この仕事は無理だ」と
一旦は落ち込むほどです。

でも、皆、そこからどうにか奮起して
ご案内する土地の情報を集め、
下見を重ね、英語の説明を考え
通訳案内士としてのデビューを
果たしていきます。

合格してから英会話力をアップすることと
合格してからガイディングのための
知識を詰め込むのは
どちらが大変でしょうか?

ガイディングのための知識は、
「今回は箱根」「今回は浅草」
という形で1つ1つ積み上げて
いくことができます。
お客様からの質問のおかげで
学ばせてもらうこともたくさんあります。

しかし、英会話力は、そう簡単に
アップできるものではありません。

つまり、合格させるべきは
「日本についてそこそこの知識を持ち
英語を流暢に話せる人」ではないでしょうか。
今後、選考方法が改善されることを
期待したいと思います。

業務独占が廃止されても
富裕層のFITを扱うホテルや旅行代理店は
有資格ガイドに発注を続けると思います。

ただ、今後、この資格に魅力がなくなり
受験者数が激減してしまったら
「実力のある無資格ガイド」が
安価で雇えるようになり
価格破壊が起きてしまう可能性はあります。

また、現時点でも「観光」と言いながら、
土産物店ばかりに連れ回す
悪質な無資格ガイドがいるそうですが
業務独占が廃止されれば、
さらに状況はひどくなるでしょう。

「業務独占廃止」が不可避であるなら
試験内容を大幅に改善し、
また、有資格者と無資格者の差別化を図り
資格を魅力的なものにすることが
今後の重要課題ではないかと思います。

あ~、なんだか難しいこと書いちゃった。
論旨も、あまりよくまとまっていなくて
すみません。。

いずれにしても、皆が共通して願っているのは
訪日外国人観光客の皆さまに
ステキな思い出を作ってもらうことだと思います。
頑張っていきましょう。