2020年8月24日月曜日

TOEIC公式みんなで模擬受験

皆さま、こんにちは。ねこです。国際ビジネスコミュニケーション協会のサイトで「TOEIC公式みんなで模擬受験」というコンテンツが公開されているので、受験してみました。
https://www.iibc-global.org/toeic/support/youtube_test.html

まずは単純な感想から。いやぁ、久しぶりに受けると疲れますね(苦笑)。時間配分については、いろいろな提案がありますが、こちらのサイトを参考にしてみました。https://toiguru.jp/toeic-time-management

Part 5 10分
Part 6 10分
Part 7 55分

(※Part 6は難易度が高いので、初心者さんは、Part 5に12分ぐらいかけ、Part 6は8分程度でサラッと流すべきと書いてあるサイトもあります。それは名案だと思います)

実際にかかった時間としては、13:46頃からPart 5を始め、終わったのが13:55。Part 6が終わったのが14:05。Part 7のシングルパッセージ、ダブルパッセージ、トリプルパッセージの所要時間は記録し忘れてしまいましたが、テスト終了1分前に全部終わったという感じです。

それにしても、やっぱり何問か「あっ、しまった!」というのがありましたね。特にリスニングでは、「あっ、今、そこ聞き逃したよ」というのが2問ほど…。まあでも、実際の会話では「あっ、ごめん。もう1回言って」と言えばいい話なので、そのあたりは、大らかに考えてもいいんじゃないかなという気がしています。とはいえ、リスニングは、本当に集中力勝負。リーディングの方は、素早い情報処理能力が問われている感じですね。

以前、すごく頑張り屋の生徒さんが、「午前中に模擬試験を全問解いてからTOEICの本番に臨んだら、途中で集中力が切れちゃったダメでした」と言っていたことがありました。そうですね、午前中はむしろ、脳を休めておきましょう。私が一生懸命、受験を繰り返していた時は、市販の模擬試験問題(3回分)を、前の週の土曜、日曜、そして前日の同じ時間にやっていました。マラソンランナーが本番に向けて調整をするのに似ているかも。

ところで、相変わらずTOEIC特有のちょっとひねった問題は健在でしたね。
(※これから模擬受験をする予定の人は、ネタバレ(?)になるので、ここは読まないで、★★★まで進んでくださいね)

No.9
Does the bus stop at Baker Street?
A) Here is the schedule.
B) A one-way ticket.
C) No, I don't have any.

「バスはベーカーストリートに停車するの?」という質問に、「ほら、時刻表だよ」答えるAが正解。実際の会話なら"Uh-huh. Here is the schedule."って言いそうな気がするけれど、Yes/Noで答えないことで難易度が上がっています。No.14もそうですね。

No. 14
Would you like to see the revised brochure?
A) I got a meeting in five minutes.
B) He cleaned it yesterday.
C) We already ate.

「修正したカタログを見る?」という質問に対し、「5分後にミーティングなんだ」と答えるAが正解。Aを聞いた瞬間は確信が持てなくても、BとCが明らかに違っていれば、消去法で選ぶことができます。これは、模擬問題をいっぱい解いていくと、だんだん慣れてきて「ああ、このパターンね」と思えるようになります。そして、「フッ、引っかからなかったぜ」と思うのが快感になってきます(笑)。ぜひ、皆さん、そこまで極めてみてくださいね。

★★★

今回、受験するにあたって、Part 3とPart 4の問題用紙だけ印刷し、あとは、画面上で見ていたのですが、Part 7のトリプルパッセージまで来たら、問題文と設問をいったりきたりするのが困難になり、YouTubeを一時停止して、問題用紙を印刷しました。今回の場合、Question 172以降も印刷しておくことをオススメします。

ちなみに、今回の結果ですが、無事、一番上のゾーンに入りました。ふぅ。英語教育から離れて、かなり年数が経っちゃいましたが、日々、仕事で英語を使っているので、ここはちゃんと押さえないとね。

ところで、2015年に、英語を身につける方法を解説した「英語のプロは何をしてきたのか」という電子書籍を出版しましたが、秋にこの本の改訂版を出します! 便利なサイトやアプリに関する情報もアップデートし、TOEIC対策も最新のものに書き換え、通訳案内士についての情報も追加し、今、私が日々やっているトレーニング方法なども紹介しようと思っています。お楽しみに!

2020年8月5日水曜日

字幕翻訳作業についての細かい話

皆さま、こんにちは。ねこです。この間は、スポッティングまでのことを書いたので、今日はその続きを書きますね。スポッティングの次にする作業は、原文ウインドウへの原文の貼り付けです。その時に大活躍してくれるのが、ゲーミングマウス。8つのボタンに、こんな動作割り当てをしています。


まずは、動作割り当ての解説をしましょう。左クリック、右クリックは普通どおり。ここは特に設定を変えたりはしません。

左の親指で操作しやすい場所にコピーとペースト。これは何の作業をする時にも、よく使いますよね。字幕翻訳中に使う場面としては、原文にある単語を辞書に貼る時。あとは、原文の貼り付けで間違えた時の修正ですね。

人差し指を伸ばすと届く位置にPage DownとPage Up。これは、SSTのショートカットと連動させていて、Page Downで次の字幕に、Page Upで前の字幕に移動します。

スクロールボタンには、F12キー。これもSSTのショートカットと連動させていて、「現字幕の再生」を割り当てています。

そして、親指を遠くに伸ばしたところにEnter。これは、原文の貼り付けでは使いませんが、例えばGoogle検索をする際、検索バーのところにキーワードを貼り付け、親指でこのEnterを押すと、右手をマウスから離さずに検索ができます。その他、マウスから手を離してEnterを押す場面というのは、意外と多いので、なかなか使えます。

さて、具体的にどう原文の貼り付けを進めていくかですが、まずは、「台本ウインドウに原文が貼られている」という前提でスタートしますね。

1)中指で「現字幕の再生(F12)」を割り当てたキー(スクロールボタン)を押し、ハコ1つ分の音を聞きます。

2)それに該当する原文をマウスでドラッグし、台本ウインドウの左上にある「コピー」を押します。


3)アウト点を縮める必要がある場合は、マウスをアウト点付近に置いて、「←→」が表示された状態で、ちょっと左右に動かすと、アウト点をつかまえることができるので(ハコの一番右側が赤い線になってる状態)そこで、左手の小指を「Shift」キー、右手の人差し指を「←」キー、薬指を「→」キーに置いて、アウト点の調整をします。特にカット変わりがある時は要注意ですね。

4)アウト点の調整がない場合、あるいは、アウト点の調整が済んだら、マウスで「次の字幕に移動(Page Up)」を割り当てたボタンを押します。

あとは、1)から4)の繰り返し。会話が続いていてアウト点を縮める必要がなければ、マウスだけで作業ができちゃいます。

次に、実際の翻訳の手順とペースについて。私は、目の疲れや腰痛などを防止するために、「25分作業」→「5分休憩」→「25分作業」→「5分休憩」→「25分作業」→「5分休憩」→「25分作業」→「30分休憩」というサイクルで作業をすることにしています(「ポモドーロ・テクニック」という時間術です)

そして、自分で翻訳可能な字幕枚数に応じて、一応、こんな時間割を作ります。

10:00 字幕~20
10:30 字幕~40
11:00 字幕~60
11:30 字幕~80
12:00 ランチ
12:30 休憩(NHK語学)
13:00 字幕~100
13:30 字幕~120
14:00 字幕~140
14:30 字幕~160
15:00 休憩
15:30 字幕~180
16:00 字幕~200
16:30 字幕~220
17:00 字幕~240

25分で何枚訳せるかは、素材の種類によってかなり差はありますが、私の場合、込み入ったドキュメンタリーなどでは、25分間で15枚ぐらい、テンポのいいドラマでは25枚ぐらいです。これは、「そこそこ完成に近づけつつも、ハマりそうになったら保留」という完成度でのペースです。読解やリサーチで、どうしてもハマりそうになったら、そこは★印を付けて後回しにします。★印があまりに多くになってしまう場合は、一旦、作業を中断して、重点的にリサーチをしたり、ネイティブに質問を送ったりして、自分自身が内容を理解できている状態に持っていきます。

さて、実際にいつもこの勢いで訳しているかというと、実はそうでもないんですよね。ニャンコがパソコンに飛び乗ってきて、そのまま30分遊んじゃったり、休憩の5分を使ってストレッチをしている間に寝落ちしたり…と、日々、いろいろなトラブル(?)が起きます。なので、240枚まで終わると夜の9時や10時になっているということも、しばしば。ただ、本当に切羽詰まっている時は、このペースで訳すことは可能なので、1日に300枚訳すこともあります。

まあ、見積もりとしては、このペースで訳せる素材の場合、「1日あたりおおよそ200枚程度」として納期までの予定を立てます。23分程度の比較的訳し易い内容のテレビ番組で、字幕枚数が360枚だった場合、1日目はスポッティング+字幕160枚、2日目は字幕200枚。3日目に見直しとリライトをして正午に納品という感じ。

もちろん、最初からこんなペースで訳せていたわけではありません。ただ、長くやってるとやっぱり翻訳速度は上がっていくものなんですね。先日のJVTAのYouTubeでも言っていましたが、「字幕の型」ってあるなぁ…思います。「文章の構造がこうなってる時は、こう処理する」みたいなこともあるし、あとは、「原音とは全然違う言葉を使いながら全体をうまく言い換える場合の発想方法」などでしょうか。

このコツというかテクニックのようなものは、ドキュメンタリー番組やドラマの字幕をトコトン書き写してつかみました。前述のYouTubeの中で、おふたりが「写経」と言っていたものです。原音を聞きつつ、字幕を書き出していると、「あ~、そういう発想ですかぁ…」「へぇ、そうやって辻褄を合わせるんだぁ」と気づくことが山ほどあります。おそらく、そうやって身につけた「字幕の型」のおかげで、長年の間にちょっとずつペースアップできたんだろうなぁ…と思いました。

逆に言うと、「自分の字幕の型」にハマりすぎている可能性もあるので、あらためて「写経」に取り組んで、他の翻訳者さんたちの「字幕の型」をお裾分けしてもらおうかなと思っています。映画やドラマを見ていて、字幕の作り方(発想)が見事だと、感激してニヤニヤしちゃうことってあるんですよねぇ。よ~し、写経するぞ!

JVTA+(プラス)vol.20: 
1人でもできる翻訳の勉強法を考えてみる