2026年6月28日日曜日

英語教育クロスリンクフォーラム vol.1「AIと英語教育」

皆さま、お久しぶりです。ねこです。元々は2010年にイーオンの生徒さんの質問に回答するために始めたブログですが、ほぼ休止状態で、最近は投稿内容も他の話題が多くなっていました。今回は久しぶりに英語の話題です!

6月27日に「AIと英語教育」というフォーラムに参加してきました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000247.000038445.html
株式会社朝日出版社と英語教育クロスリンクフォーラム組織委員会の共催です。

登壇されたのは、こちらの先生方:

三原 伸剛 先生(灘中学校・高等学校 英語科 教諭/英語教育クロスリンクフォーラム組織委員会 会長)

髙木 俊輔 先生(聖光学院中学校高等学校 英語科 教諭/文部科学省中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会外国語ワーキンググループ委員/Google for Education認定トレーナー)

田中 茂範 先生(慶應義塾大学名誉教授/PEN言語教育サービス代表)

具体的な内容の前に、とにかく印象的だったのは、中学・高校の先生と大学の名誉教授の話し方の違いです。

中学・高校の先生は、日頃から生徒さんの興味関心を引くのに苦労をされているからか、セミナーの話がとにかく面白い! 会場を笑いの渦に包み、グイグイ話に引き込んでいきます。

一方、大学の名誉教授は、文字の小さなパワーポイントを出し、淡々とお話を始められたので、実は最初ちょっぴり戸惑いました。その後、ものすごく話に引き込まれることになるのですが…。

・・・・・

では、おひとりずつのお話を少しご紹介しましょう。

<三原先生のお話>
なぜ、シャドーイングが効果的なのか、どういう手順でシャドーイングをすると効果的なのかというお話がとても参考になりました。

①精読
②チャンクごとに止めながら音読
③一文ずつ止めながら音読
④文を見ながらオーバーラッピング
⑤英文の意味を想起しながらオーバーラッピング
⑥文を見ずにシャドーイング
⑦意味を想起しながらシャドーイング 

これだけでも貴重な情報なのですが、さらには生徒さんに宿題として、どうやってシャドーイングをやらせるかについて、AIを活用した教材の作り方から使用事例まで、とても丁寧に解説してくださいました。

AIでスクリプトを生成し、Grammarlyでチェックをし、BenesseのGELP(ジェルピー)という学習支援サービスを使ってシャドーイング教材を作り、学習状況も管理しているとのこと。
https://www.benesse.co.jp/gtec/gelp/

POLYGLOTSのレシピーというプラットフォームもご紹介いただきました。
https://www.polyglots.net/

高校生向けの「Echo Listening」という教材もおすすめだそうです。(※店頭販売なし)
https://text.asahipress.com/high-school-english/detail.php?id=2126

<髙木先生のお話>
学習者が関心を持つ教材を作る工夫、自学支援をする方法、発音改善の指導、英作文の添削など、英語教育にAIを活用する事例をとても具体的にご紹介いただきました。生徒さん自身にAIによる英文添削(文法・表現上のエラーの指摘)を受けてもらい、修正前と修正後の英文を提出してもらうといったやり方をすると、学習者の間違いや誤解を分析することができるとのこと。

「AIリテラシーが高いと自負している人ほど、自信過剰になる傾向」というお話には、かなりドキッとしました。AIに答えを聞くのは、AIに筋トレさせているだけ。それでは自分の力は伸びない。確かにそのとおりですね。

ご紹介いただいたツールで特に使ってみたいのはこちら:

Google AI Studioを使ったTTS (Text to Speech)は、いろいろなタイプの声のトーンでかなり自然な読み上げをしてくれるツール。
https://aistudio.google.com/prompts/new_chat

Minimal Chunk Makerは、英文を意味の塊ごとに分けて対訳を表示してくれます。
https://chatgpt.com/g/g-0eR6P8q26-minimal-chunk-maker

世の中って本当にすごい勢いで進化しているんですね。ぼーっといつもどおりに仕事をしているだけで、意識的に情報を取りにいかずにいると、あっという間に取り残されてしまいそうです。

<田中先生のお話>
AIにできること、人間にしかできないことについて、大変深い考察を示してくださいました。さまざまな具体例を挙げてAIの限界を示すことで、人間はどうAIを利用していくべきかのヒントを提示してくださったという感じです。字幕翻訳者として、今後どう生き残っていくかの手がかりにもなるお話でした。

「認知的オフロード」「認知的負債」についてのお話も印象的でした(ぜひ、これらの言葉を検索してみてくださいね)。最近、時間に追われていると、英文メールで送りたい内容を日本語でざっと書いて、AIに英文を作ってもらい、内容に問題がなければそのまま送ってしまうこともありましたが、やはり、それを続けていては、当然ながら英文を書く能力が低下するわけですよね(汗)。

添削にAIを使うことで、learner's voiceが失われるというお話もありました。その話を聞いて思い出したことがあります。アメリカ人の親友(言語学者)宛てに英文メールの下書きを作り、それをChatGPTにリライトしてもらった時のこと。リライトされた文章をメールの前半に貼り、修正前の文章を後半に貼って送ってみたところ、「気づかず普通に読んでたけど、修正前の文を読んだら、ああ、これがKumiko's voiceだと思った」と言われたことを思い出しました。

田中教授のお話は、今後のAIとの向き合い方を考え直すきっかけになりそうです。


<フォーラム開催のお礼>

このような興味深いフォーラムを主催してくださり、ありがとうございました。

・株式会社朝日出版社
・英語教育クロスリンクフォーラム組織委員会

協賛してくださった企業の皆さま、ありがとうございました。

・株式会社アルク
・株式会社Glats(学研グループ)
・株式会社Globee(abceed)
・株式会社三省堂
・株式会社ポリグロッツ(レシピー)
・株式会社学びエイド

「英辞郎」や「キクタン」、「新明解国語辞典」や「Dualウィズダム英和辞典」でとてもお世話になっている企業様がいらっしゃったので、まるで恩師に会ったような気持ちになりました。

また、配付資料の中に「CNN ENGLISH EXPRESS」3月号が入っているのを見つけて大感激!! しかも、Kindle Unlimitedで、他の号も0円で読めるんですね。これを機に、あらためて英語とじっくり向き合い、2026年の学習方法をちょこちょこ発信していけたらと思っています。


<当ブログの関連記事>
「ChatGPTはどんなふうに使えるか」2024年8月11日投稿(※ちょっと古いのですが…)
https://interesting-languages.blogspot.com/2024/08/chatgpt.html