2012年11月15日木曜日

翻訳漬け

皆さま、こんにちは。ねこです。
なかなかブログの更新ができませんが元気です。
ここのところ、かなり翻訳漬けの日々が続いています。
とても楽しいです♪

映画監督や俳優さんのインタビューの字幕、
ヨットレース番組の字幕、企業の製品紹介の字幕、
音楽CDの歌詞対訳、そしてアニメの脚本翻訳など、
時には2~3本の案件を同時進行することもあります。

たまにしか依頼をもらえなかった頃を思うと、
本当に今は天国です!
そして、日々、翻訳作業をしていると、
ぴったりくる日本語を思い付くのも早くなります。
この調子で、ヨットレースみたいに
波に乗っていきたいなぁ…。^^

ところで、パソコンに向かいっぱなしで、
肩こりがひどくなったので、
外付けディスプレイを買って、作業時の視線を高くして、
姿勢を改善してみました。
これが思った以上に効果的です!

そして、せっかくなので
デュアル・ディスプレイの設定にして、
上のモニターと下のモニターで
別々の表示ができるようにしました。
具体的に言うと、上のモニターには字幕制作ソフトを出し、
下のモニターにはウェブ検索や辞書の画面を表示します。



こんな感じです。
大きな机で、資料をいっぱいに広げて
作業をしている気分です。
やっと在宅翻訳者のオフィスらしくなりました(笑)。

なかなかブログを書く時間が取れませんが、
また、ちょこちょこと翻訳の仕事で出会った表現や、
生徒さんからの質問で発見したことなどを
アップしていきますね。

2012年11月8日木曜日

翻訳は面白すぎる

皆さま、こんにちは。ねこです。
久しぶりの更新です。
ここのところ、翻訳漬けな日々でした。
今もまだその状態は続いているんですが、
面白いネタがたまってしまったので
休憩がてら書いちゃいます!

ちなみに、どれもまだ世の中に出回ってない内容なので、
地名や曲名などの固有名詞は、ちょっと変えて書きますね。


まずは、字幕のお話。
ある物語の中で、コペンハーゲンに単身赴任中の父親が
妻と娘をコペンハーゲンに招きます。

"Welcome to Copenhagen!"(制限字数4~5文字)

さあ、皆さんなら、どう訳しますか?
「コペンハーゲン」だけで7文字必要なので、
どう考えても地名は入りません。
そこまでの話の流れで、
場所がコペンハーゲンということはわかっているので、
この場合、地名の省略は可能。

「ようこそ」(4文字)

おそらくすぐに思いつく訳はこれだけれど、
父親が家族に「ようこそ」って言うのは、
ちょっと堅苦しい?

…と考えていって、導き出した訳がこちら。

「よく来たね」(5文字)

うん。なんとなくしっくりいきます。

さらに、この物語のちょっと前のシーン。
妻と娘は、コペンハーゲン行きを直前に決めたので、
2人がやってくることは、
父親にとってはサプライズになります。
そこで、娘のセリフ。

"Surprise!"(制限字数3~4文字)

これは、誰かをびっくりさせる時に言うセリフで、
近い意味の日本語を探すなら、
「ジャジャ~ン、びっくりしたでしょ!」という感じ。
でも、そんなに文字数の余裕はありません。

一瞬思いついたのは、「びっくり!」だけれど、
これは、驚いた人が言うセリフ。
驚かせた方が言ったら、
オイオイ、なぜ、お前が驚く?という感じでやっぱり変(笑)。
というわけで、こうしてみました。

「来ちゃった」(4文字) ※「ゃ」「っ」は0.5文字計算

"surprise"の典型的な訳語「驚く」という言葉は使っていないけれど、
ニュアンスは伝わりそうですよね。

こんな感じで、日々、英語だけでなく
日本語をこねくりまわして、
ああでもない、こうでもない…とやるのが
字幕翻訳者の仕事です。(^^)


もちろん、日本語でアウトプットする前の
英文解釈の段階で頭を悩ませることも多々あります。

ミュージシャンのインタビューを訳していた時のこと。
謎の英文に出会いました。

"Last year at a jazz club, a couple told me they got married
and they walked up to the aisle to the fancy road."

昨年、あるジャズクラブで、ある夫婦が私に言いました。
彼らは結婚して、ファンシー・ロードに歩いていった(!?)

頭の中で「?」が15個ぐらいぐるぐるしました。
ミュージシャンが自分の故郷を思い描いて作った曲に
「ファンシー・ロード」というのがあるので、
この夫婦は、その町で結婚して、
「ファンシー・ロード」を歩いたのかなぁ…などと、
いまいちしっくりいかない想像を巡らせていました。

こういう時は、とにかくきちんと文法通りに
英文を解釈していかないと!
そう思い直して、分解していくと…

"walked up to the aisle"通路を歩いた

あっ、これは結婚式を挙げた教会の真ん中の通路のことかも。
そう気づいた瞬間、次の"to"が目にとまりました。
「音楽に合わせて」という表現は、英語で"to the music"となります。

つまり、"walked to 'The Fancy Road'"
「『ファンシー・ロード』に合わせて歩いた」
要は、結婚式の入場の曲に「ファンシー・ロード」を使った
ということではないですかっ!!
つまり、このおふたりは、結婚式で使った曲の
作曲者に会えて大感激していたというお話だったんですね。
わかった瞬間、本当にスッキリしました♪


そして、今日、謎の英文がもう1つ。

"we made 14 sides of vinyl"

こちらは、別のミュージシャンのインタビューで出てきたセリフ。
vinylは、「ヴァイナル」と発音するのですが、
いわゆる、「レコード」のこと。
「14面のレコード」って、なんのこっちゃ??と、
頭の中で多面体の謎のレコードを思い浮かべて苦笑。

レコードで14面ってことは、A面とB面があるから、
ひょっとして、LPを7枚出したってことかしら?と思って調べるも、
なぜか、リリースしたアルバムは5枚。

おかしい…。
そう思って、さらにリサーチを続けていたら、
やっと答えが見つかりました。
なんと、5つのアルバムのうち、2枚組が2つあったので、
1+2+2+1+1=7ということで、
アルバムリリースは5だけれど、
レコードの形になったものの枚数は7枚。
つまり、面の数で言うと14面。
"7 records"と言ってしまうと、紛らわしいので、
面の数で表現することで、
それだけたくさんの曲を作ったということを
伝えたかったんでしょうね。

ああ、翻訳って深いです…。