2020年3月16日月曜日

「終息」か「収束」か?

皆さま、こんにちは。ねこです。
最近、ニュースを見ていても、
人と話していても、
「早くシュウソクしてほしい」
という言葉をよく聞きます。

「終息」「収束」どっちが正しいの?
と思った人はいませんか。

これ、実は文脈によっては、
どちらかしか使えない場合と
どちらを使ってもOKな場合があります。
まずはそれぞれの定義をみていきましょう。
(※和英は「終息/収束する」の訳語)

終息
事がおわって、おさまること。終止。(広辞苑)
やむこと。終結すること。(大辞林)
end; come to an end(研究社新和英中辞典)

収束
おさまりをつけること。おさまりがつくこと。(広辞苑)
おさまりがつくこと。収拾。(大辞林)
settle;  restore sth to its normal [an orderly] state(研究社新和英中辞典)

少し違いが見えてきましたか?
つまり、「これで完全におしまい」
というのが終息
「まあ、なんか落ち着いてきたよね」
というのが収束

例えば、SARSの場合、
2003年7月5日にWHOによって
シュウソク宣言が出されました。
この場合は、完全に終わった
ということなので「終息」を使います。

「だいぶ事態がシュウソクしてきたので
そろそろ旅行の予定を立てようかな」
といった表現の場合は、
「収束」の方が適切です。

「いつ頃シュウソクするだろう?」
という場合は、話者がどちらの状況を
想定しているかによって、
どちらも使えます。

ウイルスが世の中から
完全に消滅する時期について
話しているのなら「終息」
完全には消えないまでも、
日常を取り戻せる状態になる時期について
話しているなら「収束」になります。

おそらく新聞記者の方たちは、
このあたりを意識して
使い分けているかと思いますが
ネットのニュースやSNSでの投稿では、
両方の表現が混在しているかと思います。

まあ、今の段階では、どちらを使っていても、
「○ 終息宣言」「× 収束宣言」以外は
致命的な誤りにはならないでしょうね。

ちなみに、私は、とりあえず
日常を取り戻すという意味での
「収束」の方をよく使っています。
この騒ぎが収束することを願って…。



<本日のおまけ>
都内の桜スポットの紹介動画を作りました。


ここ数年、この季節は連日のように
都内のガイドをしながら、
桜に感激する外国人のお客様の笑顔を
見ていたので、写真を見ていると
なんとも切ない気持ちになります。
でも、元気出していきましょう。
笑う門には福来たる!



  

※この記事は、各種辞書の他、2003年7月1日のNHK放送文化研究所の「最近気になる放送用語」を参考に執筆しました。
https://www.nhk.or.jp/bunken/summary/kotoba/term/072.html