2015年8月31日月曜日

迷走!通訳案内士試験

皆さま、こんにちは。ねこです。
昨日、通訳案内士試験を受けてきました。
英語の試験は、英検1級で免除になっているので、
今回受験した科目は、
日本地理、日本歴史、一般常識の3科目。

過去問や予想問題などで、
しっかり合格点を超えるようになっていたので、
「まあ、何問かは分からない問題があっても
受かるでしょう」と穏やかな気分で
本番に臨みました。

が…。
地理が始まるなり、
「あれっ? 問題のページ数が過去問より多い。
どこにも地図が載ってない」と軽い戸惑いがあり、
解いていくうちに、悪夢を見ているような気分に。
すっかり出題傾向が変わってしまっていたのです。
山や川や湾の名前と場所を
あんなに必死で覚えたのに、
まったく得点に結びつかず。

3教科でかろうじて普通に解答できたのは
一番苦手だったはずの歴史でした。

一般常識は、「訪日外国人旅行者数」や
「外国人向け消費税免税制度」など、
適切な問題もありましたが、
「全国工場夜景サミット」の2014年の
開催地を答えるなどという問題は、
受験者のほとんどが、
勘でマークシートを塗りつぶすという状態に
なったのではないでしょうか。

「北海道新幹線の開業予定」とか、
「スコットランド独立の住民投票」とか
「ノーベル賞」とか「消費税」とか
「2016年のサミット開催地」とか
他にもっと出すべき問題が
いっぱいあったんじゃないかしらねぇ…。

ネット上でも、「ウルトラクイズ級」、
「対策のしようがない」
「もう受験する気になれない」
などと言うコメントをたくさん見かけました。

「日本の一般世帯における
温水洗浄便座の普及率」という問題もありました。
こういうのは確かに、ガイドになった時に
知っていたら、面白いかとは思います。
実際によく聞かれる質問だから、
出題されたのかもしれません。
でも、試験問題としては、どうなんでしょうか。
ちなみに正解は75%のようです。
この数字は二度と忘れないだろうな(笑)

ところで、解答速報を出している学校が
3校あるのですが、
いくつか正解が分かれているものがありました。

富士通訳ガイドアカデミーの解答速報
http://www.fuji-academy.co.jp/sokuho/20150830.pdf

ESDIC英語能力開発アカデミーの解答速報
http://www.esdic-academy.jp/category/2021376.html

PEP英語学校の解答速報
http://www.pep-english.net/blog/2015/08/post-6488.html

(※このブログは、8月31日時点のものなので、
解答はいずれ変更されるかと思われます)

地理の「10」
問5 このジオパーク(※三笠ジオパーク)と同様に石炭の鉱山、ないしは炭田が主要なジオサイトとなっているジオパークとして、最も適切なものはどれか、次の①~④から選びなさい。
①霧島ジオパーク
②室戸ジオパーク
③糸魚川ジオパーク
④茨城県北ジオパーク

富士通訳は③、ESDICとPEPは④となっています。
どちらのパークにも炭鉱跡があります。
最終的には「主要な」という部分が
キーワードになるのかもしれませんが、
この出題は物議を醸す気がします。

地理の「11」
日本の古都である京都は、a 8世紀末、当時の中国の都城を規範に、b 平安京として建設され、以後約1000年の長きにわたって繁栄した。世界遺産に登録されている17の資産は、いずれも芸術的価値が高く、c 約200棟に及ぶ建造物(国宝・重要文化財)を擁するほか、優美な庭園によって構成されている。創建当初の建造物は、過去に相当部分を焼失してしまっているが、再建を繰り返し、現在も日本文化の象徴として大切に守られている。

問1 世界遺産の「古都京都の文化財」に関する説明文のうち、下線部a~cの語句の表現として、最も適切なものはどれか、次の①~④から選びなさい。

①aとbは正しい
②bとcは正しい
③aとcは正しい
④aとbとcは正しい

富士通訳とPEPは①、ESDICは④となっています。
aは794年なので合っています。
bも平安京で会っています。
なので、②と③は消えます。

例えば、「間違っている部分を探しなさい」
という問題なら、cの正否が分からなくても、
消去法でcを選ぶことになります。
でも、この問題の形式だと、
cの正否が分からないと正解が選べません。

この「約200棟」という言葉がクセモノです。
2校で解答が分かれてしまっていますし、
検索マニアがGoogleで調べても、
いまだに正解が分かりません。

地理の「30」
「本州四国連絡道路」に関する記述として誤っているものはどれか、次の①~④から選びなさい。
(※①と④は合っているので、転記を省略します)

②瀬戸大橋は、5つの島を上下2段構造(上部:自動車道、下部:鉄道)の6つの橋で結んでおり、鉄道と道路を併用した橋としては世界最大級の総延長約13kmを誇る。
③神戸淡路鳴門自動車道は、兵庫県神戸市と徳島県鳴門市を結ぶ高速道路で、途中にある明石海峡大橋に作られた海上遊歩道の先端にある展望台からは渦潮を見ることができる。

富士通訳は②、ESDICとPEPは③となっています。
おそらく解答が分かれた原因は、
橋の数ではないかと思われます。
本州四国高速道路株式会社のサイトでは、
「瀬戸大橋6橋」となっているので、
おそらく解答は③でしょう。
http://www.jb-honshi.co.jp/seto-ohashi/shoukai/6kyou.html

しかし、旅行サイトやテレビの旅番組では
「10の橋の総称」という言い方もされています。
http://www.bs-asahi.co.jp/drive/prg_035.html

ニュースサイトでは「6~10の橋の総称」
という表現も見つかりました。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1304/10/news035.html

渦潮が見られるのは、明石海峡大橋ではなく
大鳴門橋であるため、この問題については
正解は明らかなのですが、
「瀬戸大橋」というのが、
あくまでも「愛称」ということを考えると、
正誤問題に具体的な数字を出すことが
正しいことだったのかという疑問は残ります。

そのほか、「~のルート上に存在しない○○はどれか?」
「○○の最寄りのJR駅は?」
「乗り換え地点の経路として正しいのはどれか?」
などという問題も、はたして
知識として知っている必要があるのかと
疑問を感じる出題が多かったように思います。

歴史でも1問、おかしなものがありました。
国風文化の文学作品を選ぶ問題なのですが、
「①~⑤からすべて選びなさい」と書いてあり、
正解は、①、②、④、⑤。
でも、マークシートを4箇所塗っていいのだろうか
という疑問がぐるぐるぐるぐる。

実際、富士アカデミーの解答速報には、
勘違いしたのか③と書いてありました。
ESDICとPEPの解答速報は、①、②、④、⑤となっています。
おそらく出題者は、「間違っているものを選べ」とするか
あるいは、「① aとbとdとeが正しい」というような
組み合わせ問題を作る予定だったのでは?
と考えてしまいます。
5択のマークシートを4つ塗るって、
正直言って戸惑いますよね。

その他、歴史の20、一般常識の12も、
解答が割れています。
各予備校も、受験生の今後を
左右することなので、
かなり真剣に調べこんで、
解答速報を出しているはずです。
専門家が参考書やネットを駆使しても
解答が分かれてしまうようなものを
出題するというのは考えものですよね。

さて、出題についての愚痴ばかり言っていても
何の生産性もないので、
今後について考えてみました。

今回の試験、合格ラインは、
地理70点、歴史70点、常識60点とのことですが、
特に地理については、あの問題で70点取れる人は
一握りしかいなかったと思われるので、
おそらくそのままの点数で
合否が決まることはないように思います。
他の科目についても、多少の調整は
入るのではないでしょうか。

しかし、仮に1科目か2科目が合格だっとして、
来年、もう一度、残りの科目を受験したいか
と聞かれたら、答えはNOです。

通訳案内士試験は、次のような資格があれば、
各科目、免除になるので、
その勉強をした方が、
努力が報われそうな気がします。

<日本地理>
・地理能力検定の日本地理1級又は2級
・総合又は国内旅行業務取扱管理者試験

(※追記1:地理能力検定は、財団法人日本余暇文化振興会が実施する地理の検定試験だったのですが、この検定、すでに廃止になっているようです。JTBの旅行地理検定とは別の試験です)

(※追記2:旅行業のほうは、今年は9月6日が試験日なので、今年の受験は間に合わず。来年受験するとしても、時期的に通訳案内士の出願時には間に合わず。仮に今年、歴史と一般常識が受かっていても、免除になるのは来年だけ。いろいろうまくいきません)

<日本歴史>
・歴史能力検定の日本史1級又は日本史2級
・センター試験の日本史Bで60点以上

<一般常識>
・センター試験の現代社会で80点以上

今回の筆記試験の合否発表は11月19日。
全問マークシートなのに、
なぜ2か月半もかかるのか疑問です。
そして、二次試験(口述)は12月13日ですが、
今回の地理の成績では、
二次に進めるとは思えないので、
口述試験のことは、今は考えていません。

もし、歴史と常識が受かっていた場合は、
地理検定か旅行業務取扱管理者試験を
考えようかしら。

通訳案内士、すばらしいお仕事ですが、
正直言って、かなり
モチベーションが下がっています。
翻訳の仕事の合間に、
ボランティアガイドとして
世の中に尽くしたほうが、
ハッピーなのでは?という気持ちにもなっています。

英語を教える仕事に戻ることも考えましたが、
それは「逃げ」という気がしてしまうので、
すぐに戻ることはないでしょう。
でも、英語を教える仕事は本当に恋しいです。
いずれは、そちらの方向に戻るのかなぁ…。

何はともあれ、翻訳の仕事があるので、
就職浪人になるわけではありません。
よかった(笑)。
今日から英語漬けの生活に戻ります。
本当に幸せ♪

でも、歴史の年号を覚えたり、
名勝や山、川、湖、半島などを覚えるのは
楽しかったなぁ。
普段使わない筋肉を使うみたいな感じで
いい頭の体操になりました。
脳が10年分ぐらい若返ったかと思います。
覚えたことがほとんど役に立たなかったのは
とても残念ですが、
時間を無駄にしたとは思いません。
今後、きっと何かの役に立つことでしょう。

今まで日本を知らなすぎたので、
本当にいい勉強になりました。
ちょっと旅に行きたくなったなぁ。




※問題用紙の最後に
<受験者本人の参考用としての個人使用以外の行為を禁ずる。複製・転売を禁ずる。>
という言葉が書いてありますが、地理の10、11、30の問題文を書き写してネット上に公表することはNGなのかしら。どこかから何か言われたら、この記事はすべて消去するかもしれません。