2016年8月8日月曜日

テロップでモヤモヤ

※あくまでも、「これが聴覚障害者用のテロップではなく、外国語放送につける日本語字幕だったら」という話なので、決して、各局のテロップの出し方を批判しているわけではありません。



皆さま、こんにちは。ねこです。
今日、NHKのニュースの中で、
天皇陛下のお気持ち表明の
映像を見ていて、
何か気持ちがモヤモヤとしました。

それは、内容ではなく、
テロップのタイミングです。
(こういうのを職業病と言うのでしょうか)

通常、テレビや映画、
ネット上の各種動画などに
字幕をつける場合は、
声の出る瞬間の2フレーム前から
字幕を表示します。

映像の種類にもよりますが、
1秒が24~30フレームなので、
例えば、話者が「私が」と言う場合は、
「わ」という音の出る
おおよそ0.06~0.08秒前から、
字幕が表示されるわけです。

ところが、NHKの映像では、
天皇陛下の声が聞こえて少ししてから
聴覚障害者用のテロップが
表示されていました。

どのテロップも、同じぐらい遅れて
表示されていたので、
おそらくそういう演出なのだと思います。

視聴者に、天皇陛下のお声の方に
意識を向けさせるためのものなのか、
あるいは、リアルタイムで、
テロップを打ち出しているように
見せるための演出なのか…。

長年、字幕を訳している翻訳者さんは、
すごく気になったのではないでしょうか?

NHKの公式サイトに、
テロップ付きの映像がありますので、
ぜひ、見てみてください。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160808/k10010626811000.html
ちなみに、NHKは、句読点は使わず、
どのテロップも、途中で改行せず、
1行で表示しています。

日テレNEWS24は、ほぼ同じタイミングで出しています。
http://www.news24.jp/articles/2016/08/08/07337455.html
フォントがゴシックというのは、
ちょっと雰囲気に合っていない感じがしますね。
ただ、字幕と同じルールで表示しているようで、
句読点は一切なく、
とても読みやすい位置で改行されています。

毎日新聞のテロップは、NHKと日テレの中間ぐらいのタイミング。
http://mainichi.jp/movie/video/?id=5074891623001
フォントは、正楷書体でしょうか。
厳かな雰囲気に合っている気がします。
句読点は、読点(、)のみ使っていて、
句点(。)は使っていません。
気になったのは、改行位置です。
特に00:47から00:48に移るあたり、
1行のかなり長い字幕のあとで、
いきなり「ここ数年、」という
非常に短い字幕が出ると、
画面内で視点を移動させることになり、
微妙な読みにくさが…。

まあ、実際のところ、ねこのような
翻訳者の訳す「字幕」ではなく、
聴覚障害者向けの「テロップ」なので、
どれがいい、どれが悪いという話の
題材にすること自体が間違ってはいるのですが、
字幕翻訳者としては、
“見やすい字幕とは?”ということを考える
いいきっかけになりそうですね。


<追記>
やはり、FBの友人のコメントでは、
今回の放送のテロップについては、
「同時に出したらおかしい」という意見が
多く出ていました。