2016年2月6日土曜日

「イタリック」の発音

皆さま、こんにちは。ねこです。
先日、ニューヨーク在住のアメリカ人と
英文のフォントの話をしていて
とても驚いたことがありました。

"italic"という単語の発音です。
日本では誰もが【イタリック】と言うので、
当然、この発音は英語でも、
これに近いものだと思っていました。
ところが友人が【アイタリック】と言ったのです。

ニューヨークの別の友人にも
尋ねてみたところ、
彼女も【アイタリック】だと言います。

お馴染みのアルクの英辞郎では、
/itǽlik/ 【イタリック】。
http://eow.alc.co.jp/search?q=italic

Cambridge Dictionaries Onlineでも、
/ɪˈtæl.ɪk/ 【イタリック】。
http://dictionary.cambridge.org/pronunciation/english/italic

そもそも、この単語の語源は、
このフォントがイタリアで考案されたので
"italic"と呼ばれるようになったため、
最初は【イタリック】という発音のみ
だったかと思われます。

では、現在は、どの地域の人たちが
【アイタリック】と言い、
どの地域の人たちが
【イタリック】と言うのでしょうか?

友人たちに質問を送って、
情報をかき集めてみました。
ただ、あくまでもこれは、
ねこの友人だけの回答なので、
決して、その地域全体を
代表する回答というわけではありません。
また、都市名、州名、国名を
混ぜて記載していることをご容赦ください。

こちらが調査結果です。

【アイタリック】
ニューヨーク州、ボストン、シカゴ、
ミネソタ州、モントリオール、アイルランド

【イタリック】
カリフォルニア州、オクラホマ州、
スコットランド、イギリス、
香港、オーストラリア

ざっと見たところ、アメリカの
東側の地域で【アイ】と言い、
それ以外は、ほぼ世界中で
【イ】と発音しているようです。
アイルランドの結果が少し不思議なので、
もう少し情報を集めてみたいと思います。

さて、単なる興味本位で、
情報収集をしてみましたが、
結局、ねこが言いたいのは、
「言葉は生きている」ということです。

ある一定以上の文化圏で、
何かを指し示すための
「共通認識」となれば、
それは言葉として成立しているわけです。

「辞書にどう書かれているか」
「語源は何なのか」
そんなことは重要ではありません。

今回の【アイタリック】という発音も、
言葉の成立を考えれば、
最初は間違った発音だったのかもしれません。
しかし、少なくとも、一部の地域では、
皆が【アイタリック】と言うことで、
“ちょっと斜めに傾いたあのフォント”
という共通認識が行われているわけです。

日本のカメラのNikonも、
一部の地域では【ナイコン】と呼ばれています。

北欧家具のIkeaも、
本家のスウェーデンでは【イケア】ですが、
英語圏では、【アイケア】と
呼ばれるようです。

Godivaも、本家のベルギーでは
【ゴディヴァ】ですが、
英語圏では【ゴダイヴァ】とのこと。

で、結局、どう発音すべきなのか?
それは、「相手に伝わるように話す」
この一点に尽きると思います。

アメリカでカメラの話をしていて、
「どんなカメラを持ってるの?」
と尋ねられたら、
【ナイコン】と答えることにしています。

「みんな発音間違ってるけど、
このメーカーの名前は、
正しくは【ニコン】って言うのよ」
だなんて主張したところで、
言語の大きな流れには勝てません。

それにしても、
"five"が【ファイブ】で、
"give"が【ギヴ】(ガイヴではない)だなんて
そもそも英語って変な言葉ですよね(笑)

ま、とにかく、言葉なんて、
人と人がコミュニケーションを取るときに
通じりゃ何でもいいんです。
気楽にやっていきましょう♪