2011年2月9日水曜日

伯母と叔母

「伯母」と「叔母」。
読み方は同じですが、意味は少し違います。
「伯母」は父または母の、「叔母」は父または母のを意味します。

「伯父」と「叔父」も同じで、
「伯父」は父または母の、「叔父」は父または母のを意味します。
(※地域によっては違う意味で使われることもあるようですが、ここではその説明は割愛します)

英語なら "aunt" と "uncle" で済んでしまうのに、
日本語では、わざわざ書き分けるんですよね。

そもそも、"brother" と "sister" という言葉も、
日本語では「兄/弟」、「姉/妹」と使い分けられています。

英語でもあえて年齢の上下を表現するなら…

兄: an elder brother, an older brother, a big brother
姉: an elder sister, an older sister, a big sister
弟: a younger brother, one's little brother
妹: a younger sister, one's little sister

となります。
しかし、ネイティブたちは
単に "brother" "sister" で済ませてしまうことのほうが
多いように思われます。

これは、年齢が上か下かで家族の中での位置づけが変わる文化と
それほど年齢を意識しない文化の違いによるものなんだとか。

ちなみに、中国語では「いとこ」にあたる言葉はなく、
父方か母方か、男か女か、年上か年下によって
呼び方が変わるそうです。

たしかに、日本語でも「いとこ」を漢字変換すると、
「従兄」「従姉」「従兄弟」「従兄妹」「従姉弟」「従姉妹」「従弟」「従妹」と
やたらといっぱい出てきますよね。
(※字幕では「いとこ」とひらがな表記をすることになっているので、
これらの使い分けについて考えたことはありません…)(^^ゞ

ところで、この文化の違い、
翻訳をするときに、大変な頭痛のタネになることがあります。

例えば、ドキュメンタリー番組のインタビューで、
誰かが "My sister lives in New York." と言ったとします。
これを字幕で「私の姉妹がニューヨークに住んでいます」
とするわけにはいきません。
なんだかお姉さんと妹さんの両方がいるような
印象になってしまいます。

そんなとき、どうするか。
とにかく、とことん調査します。
有名人なら、ある程度、家族構成を把握できることもあります。
しかし、一般の人の場合は、これがなかなか難しい…。
どうしても調べがつかず、「じゃあ、妹ってことにしますか」
などという結論を出しちゃうこともありますが、
そういうのは、どうも妙な気持ち悪さが残ります。(^^;

みんなインタビューのときには、"My elder sister is..." って感じで、
具体的に話してくれると助かるんだけどなぁ…。